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リンパが腫れる病気とは 

血液の病気

 熱が出て病院を受診された時に、首、腋(わき)の下、脚の付け根が腫れていないか確認されたことはないでしょうか? 腫れていたら、グリグリと押して動くかどうか確認されたのではないかと思います。そこにあるのがリンパ節です。ここでは、リンパ節が腫れる病気を中心に血液の病気について説明します。

リンパ節とは

 リンパ節は豆のような形をしていて、通常 0.2-10mmと非常に小さく、1箇所に数個 が集まり全身に数百個存在すると考えられ ています。体中から集まって流れるリンパ管 の途中に存在しています。ウイルスや細菌、腫瘍細胞などの異物が体内に入っていないか監視・排除する役目を持ったリンパ球が存在する、免疫細胞の集合場所です。リンパ節は頭から足の先まで全身に存在 しますが、通常は触れても分からないことが多く、腫れた場合は首、腋(わき)の下、脚の付け根がよくわかります。ただし、元気な成人では脚の付け根(鼠径部)に1cm程度までのリンパ節を触れることがありますし、以前に感染症を起こしたことがある場合、リンパ節が腫れたままのこともあります。子供は大人よりも腫れていることがわかりやすいです。ただし、3cmを超えてくると注意が必要です。

なぜ腫れるの?

 リンパ節が腫れる原因はさまざまですが、一般的には免疫が活性する状態で腫れることが多く、感染症(風邪やインフルエンザ・免疫異常(関節リウマチや膠原病)・悪性疾患(悪性リンパ腫やがんの転移)が主な原 因としてあげられます。数日のうちに急に腫れて痛みを伴う場合はウイルス性などの感染症や急性炎症の可能性が高く、数週から数ヶ月かけて進行し、痛みがなかったり硬かったりする場合は悪性疾患を疑います。 また、一部の疾患に関連するリンパ節腫張は長期間変わらなかったり、増大・縮小を 繰り返したりすることがあります。なかには、関節リウマチの薬や抗痙攣薬といった内服 薬が原因で腫れることもあります。

どうやって診断するの?

 血液検査、胸部レントゲン検査をまず行い、その結果でウイルス性疾患や自己免疫性疾患が疑われたら、ウイルス抗体、自己抗体、細菌学的検査などを行います。可溶性インターロイキン2受容体(sIL-2R)が上昇する疾患は、悪性リンパ腫以外でも多数認められますが、sIL-2Rが 2,000IU/L以上の場合は、悪性リンパ腫を念頭に置いて精査を行います。悪性リンパ腫や癌の転移が疑われた場合は、消化管内視鏡、PET、CT、超音波、腫瘍マーカーなどで原発部位の特定検討をします。白血病などの血液悪性疾患が疑われた場合は、骨髄検査行います。悪性リンパ腫が疑われる場合は、リンパ節を手術で取り出して顕微鏡で確認する病理検査を行い、悪性リンパ腫の型について分類を行います。この分類に基づいて、今後の治療・経過の方針が決まります。

悪性リンパ腫ってどんな病気?

 悪性リンパ腫は日本全国で1年間に約3万人が 診断され、60歳から70歳の方に多く認められます。私たちの免疫力を司る白血球の一種リンパ球がさまざまな原因で「がん化」し、多くはリンパ節で増 殖するため、リンパ節の腫大で気づかれることが多 いですが、リンパ球は全身を流れているため胃・腸・ 眼窩・肺・脳などのリンパ節以外の臓器にも発症 します。症状としては、38℃を超えるような発熱、体重の減少、盗汗(顕著な寝汗)を主な症状として、その他に体のかゆみ、腫瘤による気道・血管・脊 髄などの臓器の圧迫による気道閉塞、血流障害、麻痺などの症状が現れ、緊急で治療が必要な場合もあります。発症の原因は明らかではありませんが、細胞内の遺伝子変異が原因と考えられています。

 悪性リンパ腫はその進行の早さから下記の3つに 大まかに分類され、それぞれ治療法が異なります。

(1) 低悪性度リンパ腫

 年単位で緩やかに進行します。腫瘍量が少 ない場合は、経過観察も可能です。代表的な病型として、濾胞性リンパ腫、MALTリンパ腫などがあります。抗がん剤を用いた化学療法を長期的に行う必要があり、その後の経過観察も長期間必要となる、やや気の長い病気です。

(2) 中悪性度リンパ腫 

 週~月単位で進行します。したがって、診断された時点で、腫瘍に対する治療が必要となります。代表的な病型として、びまん性大細胞型 B細胞リンパ腫があります。治療は1回3週程度の抗がん剤治療を6~8回繰り返します。治療反応は非常にいいですが、その後の再発に注意が必要なタイプです。

(3) 高悪性度リンパ腫 

 日~週単位で急速に進行します。病状によっては、この診断を疑われた時点で緊急入院を することもあります。高悪性度リンパ腫では、ほかのリンパ腫と異なり、入院を必要とする強 力な化学療法を行います。代表的な病型として、キットリンパ腫やリンパ芽球性リンパ腫が あります。治療に反応はするものの、再発の可能性が非常に高いため、条件が整えば同種造 血細胞移植療法(いわゆる骨髄移植)を行う必要があります。

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