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大腿骨近位部骨折

大腿骨近位部骨折 2020.1

 大腿骨近位部骨折は、高齢者の軽微な転倒などで生じ、これまでの日常生活レベルに大きな影響をもたらす骨折の一つです。平病院では、可能な限り早期に診断を行い、適切な診断と症例ごとに応じた最良の治療を行うことで完結的な地域医療を目指しておりますので、お困りの際は、整形外来へご相談ください。

大腿骨近位部骨折とは

 大腿骨近位部とは、大腿骨の股関節側の部位に なります。そして、大腿骨近位部骨折という言葉 の中には、大腿骨頚部骨折と大腿骨転子部骨折が 含まれており、骨折が生じた解剖学的な場所の違いと、治療法が異なることから区別しています。

大腿骨頚部骨折

  大腿骨頸部骨折は、血流の乏しい股関節内に生じた骨折です。骨折部が治癒するには、充分な血流と骨折部の安定が必要になりますので、手術加療が選択される場合が多い骨折のひとつです。

治療法と利点

 治療法は、主にスクリューを用いた内固定術と人工骨頭置換術の2つに大別されます。受傷時の レントゲンで骨折部のズレ(転位)の大きさから主 に判断します。転位が小さい骨折型の場合は、骨折に伴う血流 阻害の恐れも小さく、内固定術を第一選択としま すが、逆に転位の大きな骨折型であれば、骨折部 にある血流が破綻しており治癒しない可能性を考 慮して、人工骨頭置換術を第一選択としています。

 内固定術の利点は、傷も小さく低侵襲であること、自分の骨を温存するため股関節可動域も良好なこと、術後感染のリスクも低いことなどが挙げられますが、固定力自体がそれほど高い手術ではないため、荷重制限を設けたリハビリと慎重な経過観察が必要になります。

 一方、人工骨頭置換術の利点は、骨折した骨頭 を人工物へ置き換えるため、術後骨頭壊死などの リスクはなくなり、初期固定力も高いため全荷重 での歩行訓練が早期に開始できる点にあります。手術侵襲は、内固定よりも大きくなりますが、骨折時に転位が大きな症例では、この人工骨頭置換術が第一選択と考えています。

合併症

 手術における合併症は、内固定術後に骨頭壊死 を生じた場合、人工骨頭置換術や人工股関節全置 換術への切り換え手術が必要となります。また、人工骨頭置換術の合併症としては、脱臼、インプラント破損、神経損傷、感染リスクなどが挙げられます。

大腿骨転子部骨折

 大腿骨転子部骨折は、股関 節外に生じた骨折で、大腿骨 頸部骨折とは異なり、周囲の筋組織により血流が豊富な部位での骨折です。現在の治療法の第一選択は、髄内釘固定法と呼ばれる 固定法で、大腿骨内に支柱となる太い釘を挿入し、釘へさらにスクリューを連結固定することで骨折部を安定させる 固定方法になります。 術後は、荷重をかけることで骨折部へ圧迫がかかるため、すぐに歩行訓練を開始することが出来ます。

交通アクセス
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