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ナースほっとニュース

誤嚥性肺炎を防ぐための正しい口腔ケアの方法

 最近、口腔ケアをきちんと行うことが健康長寿への第一歩だといわれています。 
今回は口腔トラブルについて当院歯科衛生士の野﨑さんからお話を聞きました。

口腔トラブルQ&A

Q1 口腔トラブルというと一般的に虫歯を思い浮かべますが、他にどのようなものがありますか?

A1 年齢によって違いはあると思いますが、代表的なものに、義歯の不具合、ドライマウス、口臭・歯周病などがあげられます。


Q2 歯周病とは、どのような疾患ですか?

A2  歯垢(プラーク)という細菌の集まりが原因で起こる炎症性の疾患です。
①歯と歯ぐき(歯肉)の境目の清掃が行き届かないと歯垢がたまります。 
②細菌が繁殖し、歯ぐきの辺縁が炎症を起こします。 (赤くなったり、腫れたりしますが、 痛みはあまり感じません。歯みがき時に出血することもあります)
③炎症が奥まで進むと赤みや腫れが増し、歯と歯ぐきのすき間も目立ってきます。
④さらに進むと歯ぐきから膿が出たり (歯槽膿漏)、歯がグラグラし始め、最後には歯を失うことになります。


Q3 歯周病で歯が抜けてしまうのも困りますが、他にも身体に影響がありますか?

A3 脳梗塞・誤嚥性肺炎・心筋梗塞・心内膜炎・動脈硬化・糖尿病などの疾患を引き起こすことがあるといわれています。

「誤嚥(ごえん)性肺炎と口腔ケアの関係」と「高齢者の口腔ケアの実践」

「誤嚥(ごえん)性肺炎と口腔ケアの関係」Q&A

Q1 肺炎で入院される高齢者の方の口腔内は乾燥や汚れが目立つように感じますが、関係はありますか? 

A1 誤嚥性肺炎で入院される高齢者のほとんどが、口腔内の状態が悪いという印象を受けます。誤嚥性肺炎は、口腔内細菌が唾液や胃液とともに肺に流れ込むことで生じる肺炎です。 口の中にはたくさんの細菌がいます。特に、口腔内の状態がよくない高齢者の場合は、プラーク(歯垢)の量は多くなり、カビの仲間であるカンジダ菌も検出されます。プラークには約600種類の細菌が存在し、プラーク1g中に1000億個の細菌が存在します。 複数のお薬を服用したり、高齢で口の動き が鈍くなったりすると、唾液の分泌が減る傾向にあります。そのため唾液の殺菌作用が働かず、さらに細菌が増えることになります。 乾燥を予防し、唾液を分泌させることで誤嚥性肺炎の原因になる細菌を減らすことができます。

口腔粘膜のケア

⒈ まず口腔内に傷やただれ、痛みが無いかしっかり点検します。トラブルがある場合は歯科医師や歯科衛生士に相談しましょう。 
2. カピカピに乾いた口の中は、指で触れたりするだけでも粘膜を傷つけて感染症の原因になります。
まずは優しく口の中を湿らせましょう。
ガーゼ、口腔ケアスポンジ、口腔ケア綿棒等を水道水で湿らせ、硬く絞って粘膜をやさしく押さえます。加湿用口腔ケア用品も適切に使用すると早く加湿できます。 
3. ふやけてきたら優しく汚れを取り除きます。 
汚れた水分を飲み込ませないように注意が必要です。 
4. 仕上げに保湿剤を薄く塗布してもよいですが、塗りすぎは誤嚥のリスクを高めるため注意が必要です。
*保湿剤、洗口剤は、アルコール成分の入っていないものがおすすめです。アルコールは口を乾燥させてしまいます 

舌のケア

舌苔(ぜったい)*1は歯ブラシでこすると、味蕾(みらい)*2を傷 つける恐れがあります。舌磨き専用ブラシやガーゼを湿らせて、汚れをやさしく除去します。
一日に一回程度、奥から掻き出すよ うにやさしく磨きましょう。舌磨き時には側面や奥舌も忘れずに! 無理に取らなくても大丈夫です。 

*1 舌の表面に付着した白い苔状のもの 
*2 舌の表面にあるブツブツしたもので、味を感じる器

歯が残っている場合

歯磨きは、歯と歯ぐきの境目のプラークを落とすことを意識して磨きましょう 。

入れ歯の場合

歯磨き粉は入れ歯を傷つけるため、専用の洗浄剤を使用しましょう。また、入れ歯は衝撃に弱いため丁寧に扱いましょう。 入れ歯洗浄剤を使っただけではすべての汚れは落としきれません。汚れをしっかり落と し、細菌の付着を予防するために、下の図 のように入れ歯専用ブラシで念入りに磨きます。

自分らしく生きる~最期の心づもりできていますか?「入院時の心づもり」

 新型コロナウイルスの感染終息の見通しが立 たない中、多くの病院や施設では、面会禁止あるいは何らかの制限が設けられています。当院でも面会禁止にご理解とご協力をお願いしています。このような状況の中では、面会や付き添いが叶わず、家族とのお別れの時間が持てないまま最期を迎えられる方も少なくありません。
 また、看護師等のスタッフとご家族との情報交換やコミュニケーションの機会も奪われています。
 “自分らしく生きる”ことを少しでもお手伝いできるよう当院では下記の内容についてご本人、ご家族にお伺いしています。 
1.今後どうしたいか(退院に向けての希望)
 自宅復帰・施設入所など 
2.食事が不可能なとき
3.急変時の対応(呼吸が止まりそうなとき)  
このような内容を事前に話し合われているご家庭は少ないのではないでしょうか。  
今回は「2」の食事が不可能なときに提案される主な方法をお話しします。  
 ご本人、ご家族のお気持ちに沿った医療や介護を受けていただくきっか けになればと思います 

食事が不可能なとき ①胃管チューブ挿入

 鼻から胃にチューブを 入れて、栄養剤を注入します。鼻にずっとチューブが入っているため不快感が続きます。

 

食事が不可能なとき ②PEG(胃ろう増設)

 皮膚を経由して胃に穴を開けて 栄養剤を注入します。胃管チュー ブのような不快感はありませんが、造設に外科的な処置が必要 になります。 

 

食事が不可能なとき ③CVカテーテル

 身体の中心の太い静脈に注射の針を挿入し点滴を行います。挿入は医師が行い、 刺し替えなしで長時間使用できます。感染のリスクがあることがデメリットです。 

 

食事が不可能なとき ④静脈・皮下からの輸液

 積極的な治療ではなく、生命維持に必要な水分の補給を行います。

 

自分らしく生きる~最期の心づもりできていますか?「急変時の心づもり」

 当院では『自分らしく生きること』を少しでもお手伝いできるよう入院時にご家族にお聞きしている項目があります。
前編では「食事が不可能になったとき」に提案される方法をご紹介しました。 
今回は「急変時(呼吸が止まりそうなとき)」の対応をご紹介します。

急変時(呼吸が止まりそうなとき)

 急変時または末期状態で心停止、呼吸停止の場合に蘇生処置をしない意思を「DNAR※」といいます。
※Do Not Attempt Resusitation(ドゥ ノット アテンプト リサシテイション)訳:蘇生を試みないでください
これは心臓が動いている状態、生きている状態では痛み止めや苦痛を和らげる治療をしないということではなく、あくまで心停止のときに蘇生処置をしないということです。

蘇生処置には 
①心臓マッサージ 
②気管内挿管(気管に管を入れて気道を確保する) 
③人工呼吸器(機械の力で呼吸させる) 
④薬物投与 

があり、これらを実施するお気持ちがあるかを 入院時にお聞きしています。

自分らしく生きる~最期の心づもりできていますか?「最期を迎える心づもりの話し合い」

最期を迎える心づもりの話し合い

「自分らしく生きる」というテーマで、前編「食事が不可能な時」中編「呼吸が止まりそうな時」のお話をしてきました。
話題にしにくい最期を迎える心づもりの話し合いを実践してきたスタッフの話をまとめとして紹介します。

 ご自宅で介護をされているご家族の方は、日々の生活の中で焦りや苛立ち、不安、後悔、反省など色々な感情が入り交じり葛藤していることと思います。そのような日々の中では落ち着いて話をすることは難しいと思います。 私も母と同居を始めて3年経ちますが看護師の仕事とは違って寄り添うことの難しさを痛感しています。 父は2年前に亡くなりましたが、気づいた時には認知症で最期をどう迎えたいか聞くこともできず後悔が残っています。 母とは「自分の心づもり」をテーマに何度も話をしたり、書いてもらったりしました。最初は口数が少なかった母も、回数を重ね日常生活の中で思い出話をする中で祖父の葬儀の話になり、お墓も母自身はどうしたいと思っているのかたずねることができました。 人生会議とは必ずしも「死」にまつわることだけではなくて、これからの人生をどう生きたいのか、 どのように暮らしたいのか、過ごしたいのかを前向 きな気持ちで笑って話せるうちに聞いておくことです。 聞く時には「自分だったら?」と少し考えてみるのも大切だと思い、私も日頃から娘たちに笑って話をしています。

色々な家族のかたちがあります。その中で誰しも迎える時間が希望 に沿ったものになるように少しずつ話し合ってみてはいかがでしょうか。 

最期を迎える心づもり

1. 自分らしく生きるために大切にしていること 
2. 根本的な治療がなく、残された時間が短くなった時、どうしたいか
3. 胃ろう(胃に穴を開けチューブで栄養を入れる)、人工呼吸器の使用、 痛みを和らげる緩和治療などはどうしたいか 
4. 自分で意思表示ができないときにはどうしたいか 
5. 自分の代わりに判断してほしい人 
6. これだけは嫌なこと 
7. 最期をどこで迎えたいか

冬の感染症対策

 感染症対策の基本は「予防すること」です。予防のできる手段があれば、それを心がけるべきです。特に冬場は、病原体である “ウイルス” と、感染する “人” の条件がそろい、感染が成立しやすい状況にあります。感染症に対しては総合的な対策が必要ですが、誰にでもできる身近なことから始めましょう。

感染症対策の極意 その1 手洗い

 ウイルスから身を守り、周囲に広げない ために最も重要なのが「手洗い」です。帰宅したとき、食事の前後、咳やくしゃみ・鼻をかんだ後、トイレの後には必ず手を洗いましょう。

 さらに「手の消毒を欠かさない」ことで、 ウイルスを除去することができます。アルコール消毒には、インフルエンザウイルスを除去する効果があるといわれています。 

 手を洗うときは、手の平、手の甲、指の間、 指先、手首などをしっかり洗いましょう。 30秒程度かけて、石鹸で丁寧に洗うことをお 勧めします。30秒程度のお気に入りの歌をみ つけて、歌いながら洗うといいかもしれません。

感染症対策の極意 その2 咳エチケット

 咳エチケット 咳やくしゃみをする際、他の人に移さないようにマスクなどで口や鼻を覆い、感染を広げないように工夫する行為を「咳エチケット」といいます。

 外出する際、また人の多い場所では必ずマスクを着用しましょう。ただマスクをしていればいいわけではありません。間違った着用の仕方ではウイルスの侵入を許してしまいます。 

「マスクの正しい着用」を心がけましょう。

  ただマスクをしていればいいわけではありません。間違った着用の仕方ではウイルスの侵入を許してしまいます。「マスクの正しい着用」を心がけましょう。使い捨てマスクは毎日交換しましょう。


感染症対策の極意 その3 三密の回避

 三密(密集・密接・密閉)の回避マスクを着用していてもできるだけ2m(最低1m) 空け、会話をする際には可能な限り真正面を避けま しょう。また、しっかり部屋を暖めて、こまめに換気をしましょう。急激に室温が変化すると、血圧が大きく変動して心筋梗塞になるなど体調が突然悪化する恐れがあります。外気をいったん廊下や隣の部 屋に取り込んでから徐々に居室に移す「二段階換気」が提唱されています。 

 急激に室温が変化すると、血圧が大きく変動して心筋梗塞になるなど体調が突然悪化する恐れがあります。外気をいったん廊下や隣の部屋に取り込んでから徐々に居室に移す「二段階換気」が提唱されています。

感染症対策の極意 その4 生活習慣の改善

 バランスの良い食生活をする、適度に運動をする、歯磨きなどで口の中を清潔に保つ、十分に睡眠をとるなど、規則正しい生活を送って体の抵抗力を高めましょう。

 また、冬場は夏に比べて水分摂取量が減るため、意識して水分を摂るようにしましょう。
交通アクセス
医療法人 平病院
〒709-0498
岡山県和気郡和気町尺所438
TEL.0869-93-1155
FAX.0869-93-0330
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